生理痛は疾患のサイン

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いろいろな女性関連疾患

子宮筋腫

子宮筋層にできる良性の腫瘍です。成人女性の4人に1人が持っているとも言われています。小さいものだと自覚症状がでないこともあり、気づかない人も少なくありません。また、それ自体が生命を脅かすことはありません。しかし、放置すると10kgを超えるほどに成長することもあり、また不妊などになつながることもあるので適切な診断と治療あるいは経過観察が必要です。エストロゲンが子宮筋腫の成長を促すことがわかっており、卵巣からのエストロゲンの分泌量が停止する閉経後は、自然に小さくなっていきます。

症状

小さいものだとこれといって症状が出ないことがあります。筋腫が大きくなるにつれて、主な症状として月経量が増えたり(過多月経)、生理痛などがでてきます。ほかにも、不正出血、貧血、息切れなどがあります。さらに進行して肥大化していくと周囲の臓器を圧迫するなどして、腰痛、頻尿、便秘、下腹部の痛みなどが現れることもあります。これらの症状は、腫瘍ができた場所によって異なり、大きな筋腫でも全く症状のないこともあれば、小さな筋腫でも極端な貧血などにつながることもあります。

診断と治療方法

主に内診と超音波検査によって診断します。場合によって、MRIやCTを撮影することもあります。
治療は、筋腫が小さく症状が特にない間は定期的に通院して経過観察します。また症状が軽いうちは、痛み止めや増血剤など薬物による対症療法を行うこともあります。対症療法は筋腫そのものを小さくするわけではありませんので、定期検診を受けることが大切です。
ある程度進行している場合は、薬物療法や手術療法を選択します。薬物療法にはいくつかの方法がありますが、最も代表的な方法は子宮筋腫の原因でもある卵巣からのエストロゲン分泌を抑制し、一時的に閉経状態にすることにより子宮筋腫を縮小させ、症状も改善させる方法です。しかし、閉経状態を長く続けるとマイナス面もありますので、治療期間は6ヶ月間までということになっています。閉経が近い場合は、薬物により実際に閉経まで使用することもあります。また、薬物により筋腫を小さくして手術をしやすくする目的で「術前投与」することもあります。手術療法は、筋腫だけ摘出する方法と、子宮を全摘出する方法があります。もちろん子宮全摘を行うと妊娠の可能性はゼロになりますので、妊娠希望のある女性に対する手術療法は筋腫だけを摘出し、子宮は残す方法をとります。
いずれにせよ、筋腫の場所や大きさ、数、患者さんの年齢、ライフプラン(妊娠希望の有無)などを複合的に検討して薬物療法を選択するか、手術療法を選択するかを決めます。手術療法の場合には筋腫だけの摘出か、子宮全摘なのかを検討します。もちろん、治療法の選択はとても重要なことですので、患者さんへの十分な説明と納得の上で決定されます。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜あるいはその類似組織が子宮筋層内に発生する病気です。メカニズムは子宮内膜症に似ていますが、子宮内膜症は卵巣やダグラス窩など子宮以外に子宮内膜に似た組織ができますが、子宮腺筋症の場合は、それが子宮の壁の部分(子宮筋層)にできるのが特徴です。子宮筋腫はこぶのように一部分が肥大化しますが、子宮腺筋症の場合は子宮全体が肥大化する傾向にあります。30代以上の女性に多く見られ、疑われる場合はすぐに産婦人科で受診することが望ましいでしょう。

症状

主な症状は子宮内膜症と同じように生理痛や過多月経ですが、子宮内膜症よりも症状が強いことが多く、生理以外の時にも下腹部痛や排便痛、性交痛が起きることもあります。また、不妊症の原因になることもあります。

診断と治療方法

治療方法は薬物療法と手術療法があります。
子宮腺筋症は子宮筋腫と違い子宮全体が肥大することが多く、正常な部分と病変がある部分の区別がつきにくいため、最も有効な術式は子宮を全部摘出する子宮全摘術になります。症状がそれ程強くない場合や妊娠の可能性を残す必要がある場合には子宮筋腫の薬物療法と同じようにエストロゲンの分泌を抑えるホルモン療法が中心になりますが、6ヶ月間しか使えないという問題点もあります。子宮筋腫同様、病気の進行状況、症状の強さ、年齢、ライフプラン(妊娠希望の有無や仕事など)などを総合的に検討して治療法を決めていきます。